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不動産取引の中でのエンジニアリング・レポート(ER)

不動産市場の新しい動きである不動産の証券化、流動化の中でエンジニアリングレポートが普及してきています。

エンジニアリングレポートは、

  1. 技術的見地から
  2. 第3者の立場で
  3. 対象不動産の性能を評価し
  4. 収益性に影響を及ぼすさまざまなリスクを明らかにし
  5. できうる限りリスクを定量化する

という役割をもちます。

対象不動産を適正に評価することを目的としているので、仮に不動産を証券化しない場合でも、現物不動産であってもエンジニアリングレポートを参考にしたレポートを作成することで、営業・セールスに役に立ちます。

エンジニアリンレポートの構成

  • 建物状況調査報告書
  • 建物環境リスク評価報告書
  • 土壌汚染リスク評価報告書
  • 地震リスク評価報告書

本来、エンジニアリングレポート(ER)とは、これら一式を備えたもののことをいいます。この中の一部だけでも「ER」ということもありますけどね。

エンジニアリングレポート作成業務の内容

ERとは、デューデリジェンス(DD)の

物理的調査 物的状況に関する調査
法的調査 法的状況に関する調査
経済的調査 経済的状況に関する調査

の中の“物理的調査”を報告書にまとめたものを言います。

物理的調査として実施されるERは、対象不動産の概要、遵法性、建物の仕上げ・構造・設備システム及び劣化状況、建物環境リスク、土壌汚染リスク及び地震リスクについて第3者的見地から評価を行うものです。

調査を踏まえ、工学的観点からの再調達価格、短期並びに長期の修繕更新費用、地震による予想損失額等の経済的要素についてのリスクを定量化します。

ER作成業務の前提条件

  1. 調査目的に応じた必要な資料の提供を受けること
  2. 現地調査は目視による調査であること
  3. 機能、性能を回復・維持することを前提とする
  4. 具体的に工事を行うことを前提としたものではないこと

※ 委託者と協議して面積及び業務範囲を明確にしておくことをお勧めします。

標準的なエンジニアリング・レポート(ER)の構成

第1章 序章(適用範囲・目的)

ERの使用上の注意、制約、責任、期間等について言及する。

第2章 総括(サマリー・要約)

ERの内容を1枚~2枚程度に簡潔にまとめる。

第3章 物件概要

立地概要、建物概要(建築・主要設備概要等)について簡潔に記述する。

第4章 建物状況調査

修繕・更新及び改修の履歴、建築・設備の調査内容、結果等について記述する。

第5章 遵法性調査

建築基準関係規定への適合性について、書類によって必要な手続きの取得状況を確認するとともに、現地を調査することにより現状を確認する。遵法性に問題がある場合は、その旨を記載します。

第6章 修繕更新費用

緊急・短期修繕更新費用、長期修繕更新費用等に区分して記載する。

第7章 再調達価格

再調達価格の意味・性格等を明らかにしたうえで、その価格を示す。

第8章 建物環境リスク評価

建築物の有害物資含有量調査、室内環境調査等の項目で取りまとめて記載する。

第9章 土壌汚染リスク評価

敷地概要、土壌汚染リスク調査等の項目で取りまとめて記載する。

第10章 地震リスク調査

地盤・建築構造概要、地盤の液状化、建物脆弱性評価、地域地震特性、地震危険度、予想最大損失率(PML値)等を記載する。

添付書類

現況写真、提供資料一覧、ヒアリングシート、竣工図書・各種書類等を必要に応じて添付します。

現況写真は、

  • 建物全景
  • 屋上(屋根)
  • 立面(主たる外観)
  • 供用部(エントランス、廊下、階段、トイレ、湯沸室、機械室等
  • 専有室内(立ち入れる範囲で)
  • 電気・衛生・空調・防災・搬送 各設備
  • 外構(駐車場施設等)

を中心に写真撮影しましょう。不具合箇所ばかりでなく、正常な個所も網羅しておく必要があります。

留意点

このエンジニアリングレポートを読む人は、必ずしも不動産や建築の専門家とは限らない、ということを考慮に入れ、技術的用語及び表現をできるだけわかりやすくする必要があります。

私も言葉を覚えたてのころは、それを使いたくて使いたくて仕方なかったのですが、それは単なる自己満足に過ぎませんでした。伝わらなければ意味がありません。

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